3.11 その日 【 1 】

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この日は、病院だった。
会計を終え駐車場を出たけど、道路がとても混雑していて
大きな通りに出るのにいつもより時間がかかった。

この時期、水戸は観梅でとても混んでいるのでしょうがない。
やっと国道に出て、水戸で一番大きな百貨店の前を通行中。
軽い渋滞で停車していると、体がふわりと揺れた。
あれ?めまいがする…と思った。
でもすぐ違うとわかった。信号がゆっくり揺れている。

あ、地震か。

そう思った途端、かなりの揺れを感じて
車がゆさゆさとふられた。

あれ、結構大きい。
4かな…もしかしたら5弱はあるかも。

ここまではまだ余裕だった。
でも次の瞬間、今まで経験した事のない激しい揺れに教われた。
車がジャンプしている!ハンドルを取られる!


嘘だろう!?



ここで死ぬのか
オッサン君は大丈夫だろうか
もう会えないかも
今頃アパートはつぶれてるだろうか
ペソは死んだかも知れない
母はどうしているのか
生き残ったとして、明日からどうすればいいのか



一瞬に、いろんな思いが渦巻いた。
本当に死を覚悟した。

道路わきのビルの壁がバラバラと剥がれ落ち
ガラスが割れ、看板が落ち、あちこちで悲鳴が上がった。
ビルの中から人が大勢飛び出してきて
しゃがんだり抱き合ったり何かにしがみついたりしている。


ものすごい長い時間が過ぎ(実際には1分もなかったのかも知れない)
やっと激しい揺れが収まった。
街はシーンと静まり返っていた。
みんなが「信じられない」という気持ちで呆然としていた。

その後も大きい揺れが数度襲い
車を動かす者は誰もいなかった。

やっと少し落ち着いて、とにかく家に帰らなければと思った。
信号がすべて消えた街を、みんなそろそろと車を動かし始めた。

なるべく直線で帰れる道を選んでゆっくり運転したが
がたがた体が震えてどうしようもなかった。

いけないことだろうが、運転しながら何度携帯をかけてみても
オッサン君にも母にも全くつながらない。

ブロック塀が落ちたり、屋根瓦が落ちた家や
ちょっと傾いたり壁が剥がれ落ちた家を目の端でみながら
やっと家に辿り着く。

あった!アパートは崩壊せずに建っていた!
急いで階段を上がり鍵を開けると
足の踏み場もない惨状だった。

玄関に落ちた掛け時計が、地震発生時間で止まっている。

靴のまま飛び込んで
「ペソ!ペソ!!!」と叫んだがどこにもいない。
ああ、下敷きになってしまった。。。と思った瞬間
風呂場で「きゅーん」と言う声がした。

ペソ!
風呂場に行くとそこには濡れ鼠になったペソが
しっぽを丸め、がたがたと震えていた。
一番安全だったらしい風呂場に隠れて 、ペソは生きていた。

「よくがんばった!えらいぞ!えらかったぞ! 」

びしょ濡れのペソを抱きしめて、初めて涙が出た。



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by mucky55 | 2011-03-16 09:15 | 震災